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遺言書について

相続の基本「遺言」について

意外と知らない遺言の方式

遺言について、実は結構いろんな方式があるのをご存じですか?

「何か法律で決められた方式があって、ちゃんと書かないと無効になっちゃうんでしょ?」

と、結構詳しいところまでご存じの方から

「遺書とどうちがうの?」

と、殆ど興味のない方まで

そんな遺言ですが、まず大まかに二つに分ける事ができます。

「普通方式遺言」と「特別方式遺言」

「普通方式遺言」には

  • 「自筆証書遺言」
  • 「公正証書遺言」
  • 「秘密証書遺言」

があり、それぞれ必ず自筆で書く、公正人が作成する、秘密と言いつつ証人が二名必要、だったりと特徴的です。

次に「特別方式遺言」ですが

  • 「危急時遺言」
  • 「隔絶地遺言」

があり、さらに「一般危急時遺言」「難船危急時遺言」「一般隔絶地遺言」「船舶隔絶地遺言」とそれぞれ細分化されます。

一般危急時遺言は3名以上の証人が立ち会う必要があったり、船舶隔絶地遺言は、文字通り飛行機の乗客は対象外となっていたり、こちらもなかなかに要件が厳しく、そもそも普通方式遺言と比べ、接する機会そのものがないというのが、特筆すべきところでしょうか。

普段話題にならない遺言の方式ですが、当時民法が定められたときの時代背景とあわせて考えると、面白いかもしれませんね。

遺言を残したいけど簡単なのは・・・?

皆様が遺言を用意する事となったとき、その殆どの場合において選択肢は、自筆証書遺言と公正証書遺言の2つとなるはずです。

どちらにもメリット、デメリットがありますが、ここではちょっと視点をかえて、遺言を残したい人にとってより「簡単」なのはどちらかを見ていきたいと思います。

まずは条文の確認から

自筆証書遺言は民法第九百六十八条に定められており、こうなっています。

民法第九百六十八条
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2  自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

これからもわかるようにワープロやパソコンを使用せずに全部自筆で書かなければならず、日付と氏名と押印が必要です。

内容を変更するときも方法が決められており、いっそ新しく書き直したほうが良い場合もありますが、全体的には簡素に感じられます。

次に公正証書遺言です。

第九百六十九条  
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一  証人二人以上の立会いがあること。
二  遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三  公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四  遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五  公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

自筆証書遺言と違って条文のボリュームは倍以上になり、何やらかなり複雑そうです。

自分以外に証人が2名、それに公証人とかなり仰々しくも感じられます。

この二つをよくよく比べてみると・・・

一見自筆証書遺言の方がお手軽に思えますが、結論から言ってしまうと、実は公正証書遺言の方が遺言を残したい人にとっては「簡単」なのです。

何故かと言うと、自筆証書遺言を実際作成しようとすると気が付くのですが、まず自分がこれから書くことが、法的に機能するのかどうか確証を持ちにくい点があります。

遺留分のことが頭から抜けていたり、不動産の表記方法等の他に、言い回しや文言一つとっても考えれば考えるほど不安になってきます。

なにせ相続開始時には自分はもういないのですから、まずかったら書き直すということはできません。

さらに出来上がった遺言書は滅失や改変を防ぐための保存方法や、保存場所はどうするのかといった問題もでてきます。
専門家に自分の作りたい内容を伝えて作成してもらい、銀行の貸金庫に保管してしまうのも手ですが、いっそここまでやるなら公正証書遺言を作ってしまおうとなるわけです。

確かに費用はかかりますが、相続財産の大きさや間違いがあったときの状況を考えれば、専門家に原案を作成してもらい、公証人に公正証書にしてもらうほうが好ましいと言えるでしょう。このとき公証人は原案をチェックし、何かあれば専門家と連絡を取り合ってくれますのでより安心です。

最後に完成した原本は公証役場に保管してもらうことになるので、二重三重の意味で安全なのです。

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