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認知症と離婚

認知症を患った配偶者との離婚

認知症が原因で配偶者が暴力を振るうようになったり、徘徊や下の世話などつらい介護生活をおくられている方もいるかもしれません。そのようなとき、ふと頭に「離婚すれば解放されるのでは」と思ってしまうこともあるかもしれません。では実際に認知症の相手方と離婚をすることはできるのでしょうか。

そもそも離婚にも色々ある

一般的な方が身近に思う離婚とはいわゆる「協議離婚」と言われるものです。当事者同士が離婚するという気持ちを持って離婚届を提出することで成立します。
この他に「調停離婚」というものや「審判離婚」というものも存在します。

調停離婚は家庭裁判所で調停委員とともに当事者で話し合いを行うものです。第三者であり専門的な知識を有する調停委員が加わることで感情論ばかりになっていた話し合いも冷静さを取り戻し成立する可能性があります。

また「審判離婚」は調停離婚で当事者双方に離婚の意思はあるが成立に至らなかった場合などに用いられますが、現実的に利用されることはほとんどありません。

協議離婚や調停離婚は当事者同士の話し合い

こうした協議離婚や調停離婚は、前提に本人同士の話し合いが不可欠です。しかし、認知症を患った配偶者と離婚をしたいとなるとそもそも話し合いはまず成立しません。そうなると「裁判離婚」という選択肢が考えられます。

裁判離婚をする場合、これまでと違い「法定離婚事由」という離婚をする原因が必要となります。民法770条1項各号には不貞行為、悪意の遺棄、強度の精神病に罹り回復の見込みがない、その他婚姻を継続し難い重大な事由があげられています。この事由に当てはまらなければ離婚はできないということです。

認知症は法定離婚事由に該当するの?

では認知症の配偶者と離婚したい場合はいずれに該当するのでしょうか。 ざっと見ると強度の精神病が該当しそうにも思われますが、これを認めるということは認知症になったらすぐに離婚できるということにもなりかねないので過去の裁判例においても否定されています。
しかし、この過去の裁判例では最終的に離婚が認められました。裁判では強度の精神病ではなく「その他婚姻を継続し難い重大な事由」が認められたのです。
つまり認知症そのものは離婚事由にはならないが、認知症を患ったことで長期間、その夫婦は婚姻関係が成立していないことから婚姻関係を継続していくことが困難であるとして離婚が成立したのです。

最後に‥

ここまで認知症が原因で離婚すると言う話をしてきましたが、この問題は離婚したい相手方のわがままというわけではなく、そもそもは認知症以前から夫婦間でのコミュニケーション不足や我慢していたことの積み重ねが認知症の発症を原因に噴出することがほとんどだと思います。
不本意な介護生活であまりに苦しんでいられるならばこういった手段も検討してみることが必要かもしれません。
また、実際に裁判離婚を検討する場合は認知症を患っている配偶者に成年後見人を選任する必要もありますので専門家に相談するのがよいでしょう。

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