成年後見を申し立てるために必要な期間とは
成年後見の申立てについて
多くの人は必要に迫られてから考えることが殆どだと思われる、この成年後見の申し立て。
必要に迫られているという事は、だいたい困った事がおこっているということですが、その困った状況が成年後見の手続きが終わって解消されるまで、一体どれぐらいの期間が掛かるのかを今回は見て行きたいと思います。
まず後見開始の動機のおさらいですが
- 預貯金等の管理・解約
- 介護施設入居のため
- 不動産の処分
- 相続手続
- 保険金受取
といったものを以前ご紹介させて頂きましたが、「期間」ということに注目すると、やはり特に気になるのは「介護施設入居のため」ではないでしょうか?
預貯金の解約や保険金の受取等、目の前のお金の問題も決して時間がかかっては良いと言うものではないですが、人の健康状態は絶対に待ってくれません。その人の健康を維持したり、生活の質を向上させるために施設に入居する場合。それが遅れたりするのはできうる限り避けたいところです。
それに期間の問題は、介護が必要な人を支える人達にとっても、非常に重要なものになってきます。
というのも介護施設に入居が必要なのにできていないということは、その分の介護を家族等で分担するということになるからです。
介護で仕事を失うことも‥
近年、介護離職という言葉も耳にするようになりました。手続きにかかる期間だけであったとしても、一度今の職を手放してしまうと、次は何時働けるかわかりませんし、自分の生活は勿論、介護にも勿論お金がかかります。
最初は期間という問題から、最終的には将来のお金の問題にまでつながってしまう、とても大きなことなのです。
少し前置きが長くなりましたが、本題のどれぐらいの期間がかかるのかを裁判所が公開しているQ&Aで確認してみましょう。
裁判所の資料から見る必要期間
上記資料によりますと、後見、保佐については、2カ月~3カ月程度
補助については、1カ月程度とのことです。
※ 特に問題のない事案であれば、申立から1カ月~2カ月程で審判がされることが多いようです。
ご注意頂きたいのは、これはあくまで必要な書類を揃えて裁判所に提出し、不備がないことが確認されてからの、標準的な期間ということです。
定期預金の解約のときに、銀行からこの成年後見制度を案内されはじめてこの制度を知る人もいるでしょう。
そういった方々からすると、まず裁判所に出向いて制度の概要や、書類一式を貰い、その書類の書き方等の説明を受けるところからはじまるのではないでしょうか?
添付書類には戸籍謄本や住民票等をはじめ、中には財産目録や収支予定表等、自分で作成しなければならないものもあります。
戸籍や住民票の収集については平日に市役所に出向くことができない場合、郵送で戸籍等を請求するわけですが、手数料の支払いには定額小為替を使う事となりますので、郵便局でその定額小為替を購入することとなり、どちらにせよ非常に手間となります。
なかには最終的に預貯金や施設への入居への問題解決に半年以上費やしたケースもあるぐらいです。
専門家に頼むのも一つの手段
専門家に頼めば戸籍や住民票の収集もお任せすることができますし、ある程度の期間短縮が見込めますがやはりお勧めなのは、こまった事が起こる前にしっかり家族で考えて必要なら事前に専門家に相談しておくことです。
こうしておけば実際に成年後見制度を視野に入れて、動き出さなければならない時期や状況を見極め、事前にできる対策、その他諸々のことを準備しておくことができ、各段に費用や時間を無駄にせずに済む場合が圧倒的に多いからです。
例えばですが、自動車の任意保険のようなものだと思って頂き、気軽に一度検討してみてはいかがでしょうか。