親が住んでいた空き家を相続したら?
親が住んでいた実家が親の施設への入所や入院などで空き家になっていたが、その後親が亡くなり、その家を相続したというお話はよく耳にします。
以前、空き家の管理についての記事を書かせていただきましたが、実際にその後に空き家を相続した場合にどのような空き家の利用方法があるのか考えていきましょう。
まずは空き家をなんとかしたいという気持ち
これは空き家を相続する際の大前提ですが、まずは空き家をどうにかしたいと思う気持ちが必要です。空き家を相続した際に利用などの考えがない場合は当然どうしようもありません。
以前実際にご相談いただいたケースですが、旦那さんが今後、親が亡くなった後は自分の実家を自分一人が相続するといっているが奥さんとしては反対しているということがありました。その実家は田舎にあり、有効な利用方法もなければ利用する予定もない不動産でした。しかし、旦那さんは「自分の生まれた実家なんだから自分が元気なうちは自分が管理する。自分が亡くなった後は好きなようにしてくれて構わない」とおっしゃっていたそうです。しかし、奥さんとしては旦那さんが亡くなった後は奥さんとその子供がその不動産を相続することになります。そうすると売りたくても売ることもできない土地を所有することになり、所有者としての責任や義務のみを負担し、そんな不動産を未来ある子ども達に負わせたくはない、とご相談されました。法律上、旦那さんが亡くなられた際に田舎の不動産のみ相続を放棄する、といった都合のいい制度は現在まだありませんので非常に悩ましいご相談でした。
不動産はプラスの財産とは限らない?
今の日本において不動産だからといってプラスの財産とは言えません。むしろ所有者としての責任や義務を負うマイナスの財産となってしまうこともあります。先ほどのご相談の旦那さんのお気持ちもわかりますが空き家をなんとかしたいという気持ちもないままに感情のみで相続してしまうと後世に負担を押し付ける形になってしまうことになりかねません。
ですのでまず相続する際には、その空き家を将来的にはこうしたい、ああできればといった考えは最低限持っておくようにしなければなりません。そういった考えもないままにただ相続して放置してしまうと行政に「特定空家等」と言われかねないような状況になってしまうかもしれません。また、とりあえず行政から指導を受けないように管理会社に空き家の管理をお願いしたとしても、管理によって生まれる猶予期間やお金をただやみくもに消費してしまうだけになってしまいます。
次回は空き家の売却についてお話していきましょう。