前回の記事では①遺言書作成サービスの内容や専門家との違いをお話しましたが、今回は②遺言書保管サービスの内容や専門家との違いをお話していきたいと思います。
そもそも遺言書の保管は必要?
遺言書の保管については大手銀行ですと概ね月々500円程度で保管をしてくれるようです。この保管は公正証書遺言書の正本か謄本かもしくは両方なのかは金融機関によりますが、そもそも公正証書遺言書を保管するサービスがどの程度必要なものなのかという疑問があります。
遺言書の保管については専門家でも個々に対応が異なるかと思いますが、概ね公正証書遺言書の作成に関する業務のみでしたら作成後、公証役場から受け取る正本はご本人または遺言の執行者にお渡しします。
公証人の方でも正本は執行者が、謄本は本人が保管してくださいと説明しています。希望があれば謄本は作成に携わった専門家が守秘義務に従って厳重に保管しますが、専門家が遺言執行者に選任されているなどの場合がなければ通常の事務所では(私たちは毎月アフタフォローの通信をお出ししています)特別その後にご連絡をしたりすることはあまりありません。
よって当然保管料は発生しませんし、専門家を遺言執行者に選任していた場合は、概ね、適宜ご連絡を行い、遺言書についてご本人様の状況や変更、健康状態などの確認を行いますが、その場合に遺言書の保管料を請求することはあまりないのではないかと思います。
公正証書遺言書の原本、正本、謄本?
そもそも公正証書遺言書によって作成された遺言書の原本は公証役場に保管され、調印後に渡される公正証書遺言書は正本と謄本になります。
この正本や謄本は紛失しても原本が公証役場にあるので、もう一度正本や謄本を取得することは可能ですし、本人が亡くなられた後であれば相続人や利害関係人は全国どこの公証役場からでも「遺言検索システム」を利用し遺言書の有無を確認することができますし、合わせて保管されている公証役場を確認し、そこへ赴けば内容等を確認することができます。なのでちょっと乱暴かもしれませんが、相続人等に「公正証書で遺言書作っといたから」としっかり伝えておきさえすれば正本や謄本を燃やしてしまっても相続人が検索システムを利用するなど手間は増えますが重大な問題にまではなりません。(かと言って燃やさないでくださいね。)
結局、銀行のいう保管料とは?
そういったことから銀行が毎月保管料として請求しているものは、遺言書を保管する費用というよりかは適宜、遺言書の内容の変更などやご本人の健康状態の確認などをすることによる料金と言えるのかもしれませんね。
ならば専門家は保管料もなく遺言執行者に指名されていれば適宜確認も行い、充実しているように思えるかもしれませんが、個人事務所の場合、管理できる業務には限界がありますし、そもそも何年先かに実際に遺言を執行しなければならないときに執行者に指名されていた専門家が先に亡くなっていた、あるいは廃業していたなんてこともあります。そういった心配は銀行ではまずないでしょうからそういった違いをどう受け止めるかということになります。
しっかりとした専門家の場合、先ほどのお話のように先に自分が亡くなることも想定し、若い同業専門家を保険として遺言執行人につけるような工夫をしたりもします(私たちも文面等工夫して作成しています)ので、もしも専門家に依頼する場合、そういった配慮がある専門家に依頼するのがいいかと思います。
次回は③遺言執行サービスと④相続手続サービス、そして気になる料金などのお話をしていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。