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みなさま、こんにちは、介護と相続・認知症対策の江坂みらい法務事務所の行政書士、信本です。
一昨日、昨日ととても暖かかった大阪ですが、今日はまた寒いです。
バイク通勤にはつらい。
さて、本日は夫の両親を介護すると、相続時に報われるのかというお話をします。

そもそも妻に夫の両親を介護する義務があるのか

妻に夫の両親を介護する義務があるかという点ですが、妻と夫の両親との関係は婚姻によって親族となった姻族とよばれるものです。
その事を念頭に少し法律を見てみましょう。

1直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

これは親族間の扶養義務に関する条項です。
扶養義務とは簡単にいいますと、その人の生活の面倒を見る義務の事です。
親が未成年の子の面倒をみたり、高齢の親の面倒を子がみたりという義務の事ですね。

この条項1を見るとまず第一には、直系血族及び兄弟姉妹が扶養義務を負いますので夫の親からみると、夫や夫の兄弟姉妹、夫の親の兄弟姉妹などが扶養義務を負っています。
2を見ると特別な事情がある場合には家庭裁判所が三親等内の親族間で扶養義務を負わせることができるとなっています。
この三親等内の親族には姻族関係も含まれますのでこの場合には妻に夫の両親の扶養義務がでてきます。

夫の両親の扶養義務が生じる特別な場合って?

法律だけみると妻に夫の両親の扶養義務は特別な場合を除いてありません。
その特別な場合とはどんな場合でしょうか?
基本的には直系の血族や兄弟姉妹がいないという場合になります。

一人っ子の夫と結婚した後に夫が死亡し、義理の両親に兄弟姉妹もいないという様なイメージでしょか?
あまり無さそうなパターンなので多くの場合、妻に夫の両親の扶養義務なさそうですね。

でも夫婦は助け合わなければならない

妻に義理の両親の扶養義務は特別な場合を除いてないのですが、民法にはこんな規定もあります。

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

こうなると妻は夫が介護するのを手伝わないといけないという形がでてきます。
こういった法律論を置いておいても夫の親に介護が必要になったので同居して現に妻が介護を担当しているパターンのご家庭は非常に多いと思いますし、将来そうなるかもしれない家庭もたくさんあると思います。

夫の両親の介護をした妻は相続で報われるのか

義務が有る無しに関わらず夫の両親の介護を頑張ってきた、奥様であれば報われて当然かと思いますが報われる形の一つがやはり介護をしている夫の両親からの日々の感謝の言葉や行動ではないでしょうか。
そして最後に義両親の心が伝わるものが「相続」です。

相続って?

相続は亡くなった方が持っていた財産、お金や不動産、預貯金、株式などが権利のある人に引き継がれる制度の事です。
義両親の相続を見ていくと義両親の子供の妻は義両親の相続人=相続する権利のある人ではありませんので、亡くなった人=介護を受けていた義理の両親がなんの意思も残さなかった場合、夫の両親の介護をした妻に夫の両親の介護に口を出す権利はありません。

夫に兄弟姉妹がいる場合、夫とその兄弟姉妹で両親の残した財産の分け方を決めて遺産分割を行う事になります。
夫とその兄弟姉妹の権利は同等なので、例えば義理の両親と同居して介護をしていた場合に住んでいたその家の名義が義理の両親だとするとその家は相続財産となりますので、確実に夫が相続できるという保証はありません。

介護などを寄与分という制度もありますが実際はどうなのでしょうか?

寄与分ってどんな権利?

第904条の2
1共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
2前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
3第二項の請求は、第907条第2項の規定による請求があった場合又は第910条に規定する場合にすることができる。
解説

民法ではこの様に規程されており、介護をすると寄与分があり相続に考慮されるというイメージをお持ちの方は介護にかかわる方の中には、多いかもしれません。

法定相続人ではないものに寄与分はあるのか?

介護をしていた義両親がなんの意思も残さなかった場合そもそも介護を頑張っていた妻は、遺産分割に口を出す権利がありません、となると寄与分も主張できない感じですが、実際には妻の寄与分を夫の寄与分として主張することができます。

寄与分の主張は認められるか?遺産分割協議

義理の両親が相続についてなんの意思も残していなかった場合には、法定相続人全員で遺産の分け方を話合って決める必要があります。
この遺産を分けるための会議は遺産分割協議と呼ばれています。

実際に介護を担当していた妻はこの会議に参加する権利はありません。
この遺産についての話合いの場で夫が妻が介護をしていたことを理由に寄与分を主張し、法定の相続分(相続できる権利の大きさ)よりも多く相続したいと主張したとします。
そこで他の相続人である兄弟姉妹が、「そうやね○○さんが頑張ってくれたんやもんね」「ほんまや父さんも感謝してたわ」と納得してくれたらいいのですが、納得してくれない場合は、最終的には裁判上の手続きで主張する事になります。
そして裁判上の手続きである調停や審判で寄与分を認めてもらうのはなかなか難しいとされています。
そうなると妻の介護が報われるのは難しくなりますし、下手をすると介護中に同居していた不動産を売却して分割することになったりなどの生活基盤が揺らいでしまいます。
「そうやね~~~」となればいいのですが、多くの場合は「うちも出来る限り手伝ってた」「お金をだしていた」というような、どちらも正しいと信じる主張を行ない、相続で介護をした妻が報われるかどうかは難しいという事が多い印象です。

義理の両親の遺言書があると

遺産分割協議という話合いや調停や審判で義理の両親の相続で介護をしていた妻が相続で報われるのはとても難しい印象ですが、介護を受けていた義理の両親自身が、相続に関して意思を残している場合は話は変わってきます。

例えば、次男の奥さんには世話になったから同居していた家は次男へ残したいという想いや次男の奥さんにもお金を残したいという想いです。
想いは思っているだけでは伝わりません、それを伝える方法が遺言書です。

遺言書はただの文書ではなく、法的効力のある民法に規定された文書です。

遺言には、いろいろな種類や分類があります。
普通形式の遺言、特別形式の遺言、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言、危急時遺言、隔絶地遺言などです。

この中で夫の両親の介護をした妻に一番効果的な遺言はどの遺言でしょうか?

夫の両親の介護をした妻に一番効果的な遺言は?

それは夫の両親がまだある程度元気なうちに作成する公正証書遺言です。

遺言書を作成するには遺言能力が必要です。
重い認知症などを患ってしまうと、遺言書を作成する事は出来なくなります。
また病気などで寝たきりになってしまうと遺言作成どころではありません。

夫が言う「うちの父さんはまだまだ元気」「母さんはまだ大丈夫」
義理の両親が言う「まだ元気そんなこと考える必要はない」

この様なセリフが出てきているまさにその間しか本当に効果的な遺言は作成できません。

義理の両親の遺言書をプロにサポートしてもらう費用は?

義理の両親の介護を頑張ってきた妻が相続で確実報われるには、公正証書遺言を準備してもらうのが一番です。
公正証書は公証役場で作成するのですが、なかなかなじみのない作業なので忙しい日常で行うのは大変です。

そこで我々のような専門家いろんなサービスを提供しています。
私たち事務所でサポートする場合には129,800円+実費になり、全て合わせて20万円~25万円の範囲で作成をサポートする事が多いです。

※公正証書についてはこちらのサイトへ
大阪で公正証書の作成・相談なら江坂みらい法務事務所
※介護を行う方のための遺言書作成サービスはこちら
介護と相続 遺言書作成

遺言書の通りになる保証はあるの?

遺言があっても他の相続人の協力が必要となると、遺言の通りに行かない可能性もでてきてしまいます。
そんなことにならないように遺言の執行者を決めておきます。
遺言の執行者を遺言の中で定めておけば遺言執行者の単独で遺言のとおりに相続手続きが行えますのでとても安心です。
特に介護などのデリケートな事情がある場合には遺産を受け取る側のストレスを最小限にする意味でも遺言執行者を定めておくと良いでしょう。

結局どうすればいいの?

結論としては夫の両親の介護を頑張ってきた妻が相続で報われるには、夫の両親に遺言を残してもらうのが最善です。
そうしたいけどどうすればいいかわからないとお困りの場合には、まず初めにすることは相続について知識をつけて行くことです。
書籍を読んでもいいし、ネットの記事をみてもいいですし、専門家に相談してみるのも一つの方法です。

私たちの相談サービスであれば遺言書各人以外のご相談も大歓迎ですし、まだ夫にも夫の両親にもなにも話していないという方からのご相談も大歓迎です。

無料相談サービスはこちら

夫の両親の介護を頑張っているという方は、ぜひ一度ご検討ください。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。

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