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介護の体験談

父の緊急入院、そこから始まる一族での介護体験

父の緊急入院

5年前のがんが再発し、父が急に体調を崩し、緊急入院した。そこから4人の子供・配偶者・孫も含めた介護が始まった。

入院中の介護は、自宅介護に比べれば楽なほうだと思う。ただ、場所にもよるが通うことの大変さ、面会時間や人数の制限など面倒な部分も多々ある。

病院側に、わがままが言えない父は、ちょっとした洗濯物や日用品・飲み物の不足などを訴えて、すぐに電話をかけてきた。母も闘病中で同じ病院に入院していたので、2人の病室を行ったり来たりして、何とかわがままを聞いていた。

今まであまり子供に頼ることがなかった父だったので、エスカレートする要求にも家族で協力し何とか応えていた。当時は非常に大変だったが、今となっては、さいごのわがままに応えられて良かったと思っている。

余命について思う事、残った後悔

そんな父に、病院側は、始めのうち、優しさからか「余命」のような話はせず、「今のうちに食べたいものを食べ、やりたいことをやってください」と言っていた。

その時は、父も私たちも、「もっと良くなってから」と考え、それらの提案を受け流してしまった。特に、弱った状態で外に出るのを嫌がった父は、先生方がすすめる一時退院や外出をかたくなに拒んでいた。

でも、もしあの時病院側が、家族にだけでももう少し危機感を抱かせてくれたなら、もっと違った形で父との思い出が作れたかもしれない。

亡くなった後の事務的処理の面倒やお葬式の参列者についての議論なども少なかったのかもしれない。

正直私たちも決定的な一言を言われるのが怖くて、カンファレンスの際にも「余命」について突っ込んだ聞き方ができなかった。

もう少し早く「余命」についてきちんと話していれば違ったかも、と今となっては思う。

老人ホーム探しは大変

最終的に父は、24時間看護付き有料老人ホームで最期を迎えたが、老人ホーム探しには本当に苦労した。私は、病院のケアワーカーさんに恵まれ、段取り良く事が進んだが、自分たちだけでは到底探すことは出来なかったと思っている。

父との最後の5ヶ月間に後悔はないが、唯一心に残っているのが延命治療のこと。私たち家族は、最終的には延命治療をしない選択をしたのだが、当初家族内で意見が分かれていたのも事実だ。その判断は本当に難しく、正解はないようにも思う。

残された者たちの心にわだかまりを残さないためにも、延命治療については、生前、元気なうちに本人の意思を聞いておくのが一番かもしれない。いざという時に本人に対してその話を出すのは、「余命宣告」に等しく、なかなかできることではないからだ。

父はどうしたかったのか。いまだに時々考えてしまう。

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