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相続人のいない相続財産はどうなっていくの?

 前回の記事では特別縁故者とはどういった人なのか、また特別縁故者であることを認めてもらうためにはどのような手続きや期間が必要か、そしてその際の手続きの難しさなどをご説明してまいりました。
 今回は③の特定遺贈を受けた者についてお話していきたいと思います。

おさらい

 相続人がいない方の相続財産を相続する場合、相続財産管理人を選任する必要がありますが、その選任を申し立てることができるのは検察官と利害関係人です。この利害関係人には①債権者②特別縁故者③特定遺贈を受けた者、などがあげられます。
 ではこの③の特定遺贈を受けた者とはどういった人でなぜ管理人を選任する必要があるのでしょうか。

①債権者の記事はこちら    ②特別縁故者の記事はこちら

そもそも遺贈って?

 遺贈とは遺言書によって贈与するということです。ですので受け取る側は必ずしも相続人である必要はありません。例えば子が相続人であったとしても、その下のお孫さんに財産を相続させたい場合や、お世話になった他人でもかまいませんし、法人でも問題ありません。
 

遺言書を用意しているのならそれだけで手続きできないの?

 遺贈は遺言書によらなければ行うことはできません。逆にいうと法律に則ってちゃんと作成した遺言書をもっていけば、あとはそれを各所に出して手続きをしてください、とできそうなものですが、相続人がまったくいない方の場合にはそうはいかない場合があります。
 例えば通常、相続によって不動産を相続人の名義に変える場合は相続人だけで手続きをすることができます。しかし、遺贈の場合は本来受け取れるはずだった相続人と遺贈によって受け取る人とが協力して手続きを行う必要があります。しかし、相続人が全くいないとなると本来の相続人と遺贈を受ける人とで協力して相続の手続きを行うことができません。このような場合にはまず、相続財産管理人を裁判所で選任し、その管理人と遺贈によって受け取る人とが協力して手続きを行う必要があるのです。

 

遺言執行者がいてくれていたら‥

 先ほどのお話にあった協力して行う手続きや申請などの場合、遺言書の中に遺言執行者を選任する旨を記載していると話は格段に簡単になります。
 遺言執行者とはその名の通り遺言書に記載した内容をその通りに執行する人をいいます。この遺言執行者を遺贈によって受け取る人と指名していると、遺言書のとおりにする権限をもった執行者と遺言書によって受け取る人が同一人であることから誰かと協力しなくてもひとりで手続きを行うことができるのです。
 このような法律の知識があれば問題ありませんが、ご自身で自筆の遺言書を用意されている場合には、そういったややこしい問題が生じることもありますので、少し複雑かなと感じた際には遺言書などの専門家である行政書士などに一度ご相談するのが一番かと思います。

最後の最後には‥

 これまでお話してきたような相続人もおらず、特別縁故者などもいない、さらに遺言書でなにかしら相続について残していない場合、相続財産は国庫に帰属します。
 こうした国庫に帰属していく相続財産は年々増加しており、ここ10年で2.5倍になっているそうです。
 こうした相続財産を自分が亡くなったあとは国に有効に使ってもらいたいというのであれば問題ありませんが、誰かお世話になった人へ遺贈する、もしくは今困っている人へ少しでも援助できるような遺贈を考える、というのも選択肢のひとつかもしれません。


 

蛇足ですが‥

 相続人のいない相続財産は国庫に帰属するというお話ですが、不動産で山林や田舎などの需要の低い不動産は国もあまり受け取りたくないというお話をききます。その理由は需要の無い不動産は買い手もつかず、ずっと持ち続ける必要があり、その間に何かしら自然災害などがおこり、その不動産によって他人に損害を及ぼした時には場合によっては国家賠償の可能性もあるからだとか。
 こういったことは一般的な相続などでも可能性はあります。相続などで親が住んでいた田舎の不動産や山林に関しても相続人は不動産を相続するほかなく、売却することもできず、場合によっては他人に損害を与えかねないこともあり、責任などの負担を強いられてしまうこともあるかもしれず、他人事ではないのかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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