地方自治体への相談窓口の設置?
前回の記事では親族後見人の状況を確認するための前提として現在の後見制度の利用状況や認知症患者の推移、また後見を業務としている専門家の人口などについてお話してきました。
ではその知識を踏まえ、親族後見人についての状況などについてお話していきたいと思います。
親族後見人はどのくらいいるの?
前回の記事では後見制度の利用者数は少しずつ増加してきているお話をしていましたが、では親族後見人はどういった推移をたどっているのでしょうか。
親族後見人は主に認知症になった親の子供や配偶者などが考えられ、被後見人のことをよく知っている存在として後見人としては一番適しているかと思います。しかし、親族が後見人になる割合は年々減少しています。2011年には50%以上が親族による後見人でしたが、現在では20%台とかなり落ち込んでいるのがわかります。
親族後見人が減っていっているのはなんで?
親族後見人がこれだけ減っているのはなぜでしょうか。後見人の選任申立ての際には「この人になってもらいたい」という希望を記載することができますが実際に誰を選任するかは裁判所の判断によります。こうしたことから裁判所が不適切であると判断すると記載した人ではない者を選任することがあります。このことが親族後見人の減少に繋がっているのではないでしょうか。
つまり、申立ての段階では後見人の費用もかからず、被後見人のことをよく理解している親族が後見人になれたらと申立てをしたものの裁判所に認めてもらえず、結果としてちゃんと後見人をしてくれる専門家が就任するというケースです。
なんで親族後見人は認めてもらいにくいの?
では親族が後見人になるのが認められにくいのはなぜでしょうか。それは先ほどのお話にもあった、不適切であるからということが考えられます。内容としては素人の方ではなく専門家でないと対処がしにくいといったケースなども考えられますが、一番考えられるのは被後見人の財産を適切に管理できるのかということにあるのかと思います。
同居している配偶者や子供の場合など、被後見人になる予定の人の財産から生活費として支出してもらっている部分というのは多かれ少なかれあるかと思います。それは親子などであれば特に気にすることもないでしょうが、それが被後見人と後見人という立場では被後見人の財産を後見人が横領していることになりかねません。そうしたことから本当にこの親族できっちりと財産を管理していくことができるのか、という考えから不適切であるとされることがあるのかと思います。
このように今後も増加し続ける認知症患者に加えて後見制度の利用の少なさ、加えて親族後見人の減少傾向から行政は親族後見人の支援を行うため各地方自治体に支援機関を設置するよう要請したのではないでしょうか。
では行政はどのように考え支援を検討しているのでしょうか。
次回は相談窓口についてお話していきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。