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後見制度を利用する?利用しない?その1~市民後見人の役割~

後見制度を利用する?利用しない?その1

 成年後見制度を利用し後見人に就任する人というと法律のことをよく知っている弁護士さんや司法書士さんが就任するケース、あるいは被後見人のことをなによりもよく知っている家族や親族が就任するものと考える人が多いかと思います。

実際は親族が後見人になるのは難しい?

 しかし、被後見人が親で子供が後見人になろうとしても、親子が同居などをしていて親の財産を家族全体の財産として光熱費や食費、その他の生活費に利用していた場合などでは裁判所によっては家族ではしっかりと財産管理をすることができないと判断され、家族が後見人になれないケースなどがあります。一方で専門家が就任すると報酬が発生してしまいますし、一度後見人が就任すると親の認知症などが回復するか、もしくは親が亡くなるまで後見人を就け続け、報酬を払い続けることになってしまいます。

じゃあ後見人を選任しないほうがいいの?

 こういった事情から健康状態からは後見制度を利用する必要があるが現実には利用していないといったケースがよくあります。
 実際にみずほ情報総研の調べによると「40歳以上の男女のうち、認知症の家族・親族がいる者で、かつ、過去3年以内にその認知症の家族・親族の預貯金・財産の管理を支援したことがある者」へのアンケート調査で成年後見制度を知ってはいるが利用するつもりがない、と回答した方はじつに半数以上の55.4%にのぼっています。

 たしかに後見制度は利用が難しい制度ではありますが、一方で被後見人の財産や生活を守る手段としては有効ですし、後々相続が発生したときに後見制度を利用せずに財産を実質的に管理していた人が流用していたのではないか、といったあらぬ疑いなど紛争の種を取り除くことに対しても有効です。

 そういったときは市民後見人という選択肢も有効かもしれません。近年の超高齢社会において年々増加していくことが予想される認知症等による後見制度の利用を想定し行政では一般の方を対象に市民後見人を育成し後見活動のサポートを行っています。
 市民後見人は各地方公共団体によってどの程度運用されているかに違いはありますが、地方公共団体等が開催する養成講座を受講し登録された市民によって行われており、大阪市の市民後見人は現在(平成29年9月1日時点)234名が登録されており、そのうち166名が実際に後見人に就任しているそうです。

市民後見人はあくまでボランティアとして活動している

 必要経費以外は専門家のように報酬が発生するようなことがありませんので比較的利用が容易である点があげられます。ただし、市民後見人はあくまでも講習を受講した一般市民によるボランティア活動ですので、被後見人に多額の財産が存在するような場合や、紛争が生ずるおそれのあるものなどの複雑な後見活動は対象としていません。

しかし、財産状況や家族の環境など状況によっては有効に利用することができる制度かもしれません。
次回は後見制度でよく耳にする任意代理についてお話していきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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