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金融機関のサービス「遺言信託」ってどんなもの? その1

 これまで遺言書のこと、相続のこと、家族信託のことなど色々なお話を記事にさせていただきましたが、今回は銀行などに行くとパンフレットなどで見かける「遺言信託」という商品がどういったものなのか、また法律上との違いなどについてお話していきたいと思います。

金融機関がいう「遺言信託」は法律上の「遺言信託」とは違う?

 金融機関が商品としてとして売り出している「遺言信託」ですが法律上の「遺言信託」とは内容が異なります。
法律上の遺言信託とは信託法に定められている信託行為のひとつで、遺言書によって信託を設定することです。
つまり遺言書を書く人が信託法上の委託者となり信頼できる家族や知人などの者を受託者とする事で特定の財産を管理していってもらう仕組みを残す遺言書を書くというものでどちらかというと遺言書でできる事の一つです。

では銀行のいう「遺言信託」ってなに?

 では一方で銀行などの金融機関がサービスとして提供している「遺言信託」とはどういったものか。それを簡単にまとめると次のようになります。

①遺言書作成サービス

②遺言書管理サービス

③遺言執行者サービス

④相続手続サービス

となります。

 こちらを見るとわかる通り、さきほどお話した法律上の信託と言われるような、遺言書で出来る事の一つという意味合いではなく、遺言書作成そのものを遺言信託と呼んでいます。
なぜこんなややこしい事になっているのかはいまいち分かりませんがとにかく、銀行の遺言信託=遺言書作成だと考えてください。

 そしてこれらの①~④の業務は弁護士や司法書士、行政書士などの士業が通常行う相続に関する業務と全く同じと言えます。例えば我々も通常、遺言書の作成のご依頼をいただきましたら、お客様のご意向を確認する為、面談を何度か繰り返し、お客様のご意向に沿った遺言書を法律に則った形式で草案を作成し、必要な書類を集め公証役場との連絡などを行い、最終的に公証人が作成した公正証書遺言書にご本人とともに証人として我々も参加し調印することで完成させます。この工程が銀行などの金融機関に依頼すると変わるのかというと特別変わることはないのです。

同じサービスを私たち士業は「遺言作成」として提供し金融機関は「遺言信託」とよんでいるのです。

 では士業ではなく、銀行に「遺言信託」サービスを頼むメリットやデメリットはどういったものがあるのかについて次回の記事で詳しくお話していきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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